事業者が支払う消費税、その仕組みと免税、節税とは?
消費税はサービスや商品の購入などの一般国民の消費活動に課税される税金ですが、事業者も消費税を払わなければいけません。正確には、消費者から預かった消費税を代わりに納付するといっていいでしょう。法人税については業績が振るわず赤字になってしまうと払わなくても良いのですが、消費税は赤字であっても払わなくてはいけません。そのため、経営者は消費税を節税する良い方法はないか?と常に考えるものです。そこで今回は消費税の仕組みと免税事業者について、節税について解説していきたいと思います。
消費税の原則課税って?
原則課税とは事業者に対する消費税の課税方式のことで、売上に伴って消費者から預かった8%の消費税から、仕入れや経費のために支払った8%分の消費税を差し引いて残額を納付するという仕組みの事です。つまり、消費税は会社を通り抜けるだけになりますので損も得もないのです。ちなみに消費税の課税という観点からは、売上は課税売上、非課税売上、免税売上、不課税売上の4つに分類されます。
事業者の取引が課税売上とされるためには、「①国内において②事業者が③事業として④対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供」であることが要件とされています。したがって、この要件を満たさなければ不課税取引とされ、消費税が課税されることはありません。この他に不課税取引となるものとしては、消費税法に限定列挙されている土地の譲渡、住宅の貸付、診療報酬などがあります。
事業者の消費税が免除される場合もある
事業者のすべてが消費税を課税されるわけではなく、課税される事業者と、免税される事業者とがあります。具体的には2年前の事業年度において課税売上高が1,000万円を超過している場合、消費税は課税されるのですが、仮に1,000万円以下の場合であれば消費税は免税されます。一方で資本金が1,000万円以上の法人の場合は初年度でも課税されるという例外があります。また、法人の場合は2年前の事業年度が1年に満たない場合でも、課税売上高が年間換算で1,000万円を超過するかどうかで判断します。
個人事業主ならば、法人成りで消費税の節税ができる?
消費税に関する節税対策として一番効果が大きいのは、免税される事業者になってしまうことです。これを利用した具体的な節税方法としては個人事業主から法人になってしまう法人成りです。事業内容が同じであっても、新規に設立された法人であれば別の組織とみなされます。したがって、新法人ならば2年前には事業年度自体がありませんので、免税事業者となることもできます。ただし、繰り返しになりますが、資本金1,000万円以上の場合は初年度から課税事業者となりますので注意しなくてはなりません。
輸出免税で節税ができる?
売上の1つに免税売上というものがありますが、これは輸出売上のことで消費税は課税されません。国内売上には消費税が課税されるのに、消費地が海外である輸出売上の場合には消費税は課税されないのです。この点を見ると、輸出売上は優遇されていると思うかもしれません。ただし、輸出すると商品には関税がかかりますし、国内で商品を流通させるよりもコストはかかります。しかも、有利だからといって取引先を海外で開拓するのは簡単なことではありませんし、それなりのリスクもあります。現実にはなかなか難しいことですが、節税方法の1つとして知っておくのも良いでしょう。
課税売上割合の調整による節税?
総売上高に占める課税売上高の割合のことを課税売上割合といいますが、これが95%未満になると消費税の計算方法が変わってしまいます。仕入税額控除に該当しない課税仕入が出てくるため、納税額が多くなってしまいます。課税売上割合が95%未満となると、納税額が多くなるというデメリットもありますので、95%にすることができれば節税対策となるでしょう。
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