何気なく口にする「会社の交際費で」。その意味と注意点、ご存知ですか?
日常のビジネスシーンで「会社の交際費で」という言葉が使われる事も結構多いと思います。しかしそもそも、「交際費」ってどういったもの、決まりなのかご存知ですか?今回は税法上の交際費について、知っておきたい知識と注意点をご紹介していきたいと思います(情報は2014年11月時点のものとなります)。
そもそも、会社における交際費って?
租税特別措置法第61条の4第3項によると、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」と規定されています。
ただし、「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用を除く」とされています。以上の条件を満たす支出であれば、福利厚生費や広告宣伝費や雑費として経理処理されていたものでも、税務上の交際費とすることは可能です。例えばクライアントとの飲食費やゴルフのプレイ料金、香典・祝い金、お中元・お歳暮などの贈答品購入代金なども交際費として処理することができます。
とは言っても、全額が交際費になるわけではありません
法人経営では税法上の交際費を計上することができますが、原則として全額が対象となるわけではありません。しかし一方で、日本には独特の慣習があるので、お中元やお歳暮を贈るのをやめるわけにもいかないでしょうし、飲食を共にして人間関係を円滑するための支出として必要だと考える方も多いと思います。
そこで税法では「交際費の損金不算入」という特例制度を設けています。期末の資本金1億円以下の中小企業を対象に、交際費が600万円以下であれば90%は費用として扱い、残りの10%は費用として扱わないとしています。そして費用として扱われない場合は「損金にならない」という言い方をしています。
さらにこの制度は、中小企業の活動活性化の趣旨から平成25年度に改正され、800万円以下の交際費を全額損金算入とすることができるようにもなりました。尚、800万円を超える部分は損金不算入となります。
改正された新たな交際費枠の基準とは?
交際費については改正がなされ、1人当たり5,000円以下の飲食費が一定要件を満たせば全額費用とされるようになりました。対象となる企業に資本金の制限がないため、すべての法人でこの制度を利用して節税できるようになりました。この1人当たり5,000円以下の飲食費が交際費から除外されるためには、次の事項を記載した書類を保存しておく必要があります。
①飲食等のあった年月日
②飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
③飲食等に参加した者の数
④その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
⑤その他参考となるべき事項
以上の事項を記載していないと交際費から除外されることはありません。なかなか面倒なことではありますが、領収書にすべての出席者名、クライアントとの関係、参加人数だけを書いておけば管理することはできます。
新たな交際費枠の活用と注意しておきたいポイント
新しい5,000円基準を上手に活用すれば、交際費を全額費用にできて節税効果は大きなものとなります。ただし、以下のことには注意しなくてはなりません。
(1)社内の交際費は除外
交際費は社外の人間との飲食費が対象ですので、社内の人間しか参加していない飲食費は除外されます。逆の考え方をすると、接待する得意先が1人で、その他社内の人間が多数参加した飲食の場合、5,000円基準の要件を満たすことにもなります。
(2)消費税の経理処理によって異なる
1人あたり5,000円となるかどうかを左右するポイントとして、会社の経理処理の方式があります。つまり、税込経理方式あるいは税抜経理方式によって5,000円枠に入るかどうかが決まってきます。当然のことですが、税抜経理方式の方が有利となります。
(3)飲食費以外には適用されない
交際費に該当するのは、飲食店で支払った飲食費だけに限られます。送迎費用や贈答品は除外されますのでご注意ください。
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