【知っ得知識】個人事業主にとって重要な、所得控除の種類を知っておこう
所得控除とは自身の所得税に大きな影響を与えるものですが、複雑で税務の知識が必要とされます。そのため、あまり深く理解できていないというのが個人事業主の方の実情だと思います。今回は、個人事業主にとって重要な「所得控除」について解説していきたいと思います。ぜひご自身が受ける事ができる所得控除の確認のために役立ててください。
そもそも、所得控除とは?
所得控除とは、所得税や住民税を計算するときに、各納税者の個人的事情を加味し、課税所得から差し引く控除(控除には一定の金額を差し引くという意味がある)のことです。これは公平な税負担の実現のために設けられた制度でもあります。
ちなみに、所得税額は以下の計算式で算出されます。
〔(収入ー経費)ー所得控除〕×税率
したがって所得控除が大きければ、支払う所得税額も少なくなり、節税ができるということになります。
所得控除にはどんなものがあるの?
個人事業主の方にとって、特に重要度の高い所得控除としては以下のような項目があります。
【1】基礎控除
納税者なら誰でも受けられる所得控除で、金額は38万円です(2014年11月時点)。これは納税者が生活をしていく上で最低限必要な金額という考え方で、無条件で控除されるものとなっています。
【2】雑損控除
災害又は盗難、若しくは横領によって、住宅、家財等の資産について損害を受けた場合に、一定金額を所得から控除できます。しかしここで注意しなくてはならないのは、雑損控除が他の所得控除に優先して控除されることです。また、あまりに損失額が大きく、その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以降3年をかけて繰り越しにより控除することもできます。
【3】医療費控除
納税者本人または配偶者や親族のために医療費を支払った場合に、控除を受けることができます。ちなみに医療費控除の対象となる金額は以下の計算式で算出されます。
実際に支払った医療費 − 各種保険で補填される金額 −10万円
上記の計算式は、その年の総所得金額が200万円以上の人が対象で、200万円未満の場合は所得金額等の5%の金額となります。また、通院交通費など医療に関わる費用も医療費に含まれますので、領収書などはキチンと保管しておくようにしましょう。
【4】社会保険料控除
納税者本人またはその本人と生計を同じくする配偶者、その他親族の社会保険料を支払った場合に、控除を受けることができます。控除額は支払った社会保険料と同じ額になります。ここでの「社会保険」とは、国民健康保険、国民年金、健康保険、厚生年金などを指しています。
【5】小規模企業共済等掛金控除
納税者が小規模企業共済法に規定する共済契約の掛金、確定拠出年金法に規定する個人型年金の加入者掛金及び心身障害者扶養共済制度の掛金を支払った場合に、控除を受けることができます。控除額はその年に支払った掛金の全額となっています。個人事業主の場合には、国民年金基金や確定拠出金への加入も検討する価値があります。
【6】生命保険料控除
納税者本人が一定の生命保険料や介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に、年間の支払保険料により金額は異なるものの、一定の金額が所得控除されます。ちなみに控除額は最高で12万円です(2014年11月時点)。ただし、生命保険などで保険期間が5年未満の商品については、控除対象とならないので注意しましょう。
【7】青色申告控除
青色申告者のみが対象となりますが、様々なメリットがあります。まず、白色申告から青色申告に変更するだけで、最大10万円の控除を受けることができます(2014年11月時点)。さらに複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を税務署に提出することにより最大で65万円が控除されます(2014年11月時点)。また、青色事業専従者を雇うことができ、給与を経費として計上して節税することができます。
【8】配偶者控除
納税者本人に所得税法上の控除対象である配偶者がいれば、一定の金額が控除されます。こちらの控除額は一般の控除対象配偶者であれば38万円となっています(2014年11月時点)。ただし、配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下でなければなりませんのでご注意ください。
【9】配偶者特別控除
もし配偶者に38万円を超える所得がある場合、配偶者控除は受けられませんが、配偶者の合計所得金額に応じて、一定の金額を控除されることがあります。この場合には配偶者の年間の合計所得金額には制限があり、38万円超から76万円未満とされています(2014年11月時点)。尚、控除額は配偶者の合計の所得金額により異なりますが、最大で38万円です。
他にも所得控除の項目はありますが、今回は個人事業主の方にとって重要度が高いと思われるものを抜粋してご紹介させていただきました。
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