確定申告は白色、青色？違いとメリットを知っておこう

個人事業主になると年に1回、必ず「確定申告」を行わなければなりません。初めての方であればピンと来ないかもしれませんが、確定申告とは1月1日から12月31日の所得税を計算し、国に税金をいくら支払うのか？を申告する手続きの事を確定申告と言います。ちなみに確定申告の手続きは、翌年の2月16日から3月15日までの間に行わなければなりません。

確定申告には「白色申告」「青色申告」の2種類がある

個人事業主が年に1回行わなければならない確定申告には、白色申告と青色申告という2種類があります。ここでは2つの違いについて、具体的に以下に解説していきたいと思います。

【1】白色申告とは？

白色申告とは所得税の確定申告制度の1つで、青色申告以外の普通の納税申告制度の事を言います。白色申告は、所得額が300万円以下であれば記帳義務はありませんが、300万円を超過する場合は記帳義務があります。尚、ここで言う「記帳」とは、売上・仕入・経費などを記載した帳簿を作成することを意味しています。

【2】青色申告とは？

青色申告とは税務署長の承認を受けて所定の帳簿の具備・記帳をしている納税者に、所得計算や控除など、様々な特典が与えられる申告納税制度の事です。個人事業主の場合も事業所得があるので、青色申告は対象となっています。青色申告では所得額が300万円を超過してもしなくても記帳義務はあるのでご注意ください。

所得税額の計算方法は？

所得税を計算するには、まずその年の所得金額を計算します。ここで言う所得とは、事業期間の売上げから、すべての経費を差し引いた金額となります。この所得金額から扶養控除などの「所得控除」の合計金額を差し引いて、その金額に所得税率を乗じた金額が所得税となります。

青色申告を利用するメリットとは？

一般的に「青色申告」は白色申告よりも有利と言われていますが、主なメリットとしては以下のようなものがあります。

【1】青色申告特別控除

青色申告では、貸借対照表などの帳簿をキチンとつければ年間で65万円が所得控除されます。白色申告の場合、このような控除がないのと比較すると大きなメリットと言えるでしょう。

【2】赤字の繰越し

今年度の赤字を翌年以降3年間繰り越せます。事業というものはスタートしてから廃業まで続くものですが、調子の良い年もあれば悪い年もあるでしょう。確定申告は1年という期間で税金を計算するものですが、事業がスタートした当初はなかなか利益が上がらないという状況もあると思います。開業当初の個人事業主などであれば、大きな節税メリットがあると言えます。

【3】青色事業専従者給与

本来は、同一の生計の配偶者や親族に給料や家賃を支払っても経費として計上されることがないのが原則です。ところが青色申告では、青色事業専従者給与に関する手続きを行えば、支払った給料や賞与は全額必要経費にする事ができます。経費として計上できる金額には上限があるものの、白色申告と比較するとメリットは大きいと言えます。

青色申告、デメリットはないの？

青色申告による節税のメリットはたくさんありますが、一方でデメリットもあります。まず、領収書など帳簿の記載を裏付ける証拠をキチンと保管しておかなければなりません。また、帳簿は複式簿記で記帳し、損益計算書と貸借対照表を添付することが必要となります。複式簿記をつけることによって、その内容が正しいのかどうか、税務署ではわかるようになっています。つまり、青色申告のデメリットとは税務署のメリットでもあるわけです。

今後、青色申告を行いたい場合には？

青色申告は勝手に行うことはできないため、事前に所定の手続きを行わなければなりません。個人事業を開始する場合には、まずは開業届を税務署へ提出し、開業後2ヶ月以内に青色申告の承認に関する申請書を提出しなくてはなりません。尚、その年の1月15日までに開業したのであれば、3月15日までに申請書を提出しなくてはいけません。また、これまで白色申告であったのを青色申告に変更する場合も、3月15日までに申請書を提出する必要があります。