税務調査って何するの?経営者なら気になる税務調査の話
経営者であれば、コツコツと節税対策を実行している人も多いでしょう。しかしこれはもちろん、税法の範囲内で行うのが鉄則であり、納税を逃れるために法を逸脱すれば脱税という犯罪になってしまいます。会社を経営していれば、いずれは税務調査を受けることになりますが、この税務調査とは一体、何を根拠に行っているのでしょうか?今回は経営者なら気になる税務調査の話を解説していきたいと思います。
税務調査は法に基づいて税務署が行うもの
憲法30条には国民の納税義務が規定されていて、これを根拠に税務署は「質問検査」という方法で税務調査を行うことができるようになっています。この税務調査は法に基づいて行われるため、原則としては断ることができないものとなっています。
税務調査ってどんな風に行うの?
具体的な税務調査には、以下のような種類があります。
【1】強制調査
多額の税金を巧妙な手口で隠す、悪質な脱税をした場合、その疑いが強い場合に行われるのが強制捜査です。国税局の査察部、いわゆるマルサが、捜査令状を持参して強制的に調査を行います。ある日突然会社へやってきて、その場で脱税の証拠となる物すべてを押収していきます。もちろん関係各所の調査も一斉に行われることになります。
【2】任意調査
任意調査とは、税法上の質問検査権というものに基づいて行われるもので、一般的な会社であればこちらの場合がほとんどです。そしてこの任意調査は、一般調査と特別調査の2種類に分かれています。
①一般調査
特別調査に該当しない会社で、何らかの不審な点について解明することや、資料収集のために調査を行うのが一般調査です。ただし、調査過程において多額の不正の疑いがあれば、特別調査へと移行する場合もあります。ほとんどの場合、調査日程を事前に決めて、ベテランと若手の調査官2人体制で1日または2日程度で実施されます。一般的な業種であれば事前通告が行われますが、現金商売である飲食業や小売業などの場合には、事前予告なしで調査が実施されることもあります。これは現金の管理状況を確認するためです。
一般調査の場合は、その会社の顧問税理士宛に連絡が来るのが原則となっていますが、例外的に現在の状況についての調査の必要性があり、事前通知が不適切と判断される場合には、事前通知は不要ということにもなっています。ただし、税理士会の過去のデータによると、9割以上の場合は事前通告があったとしています。
②特別調査
特別調査は、一般調査と強制調査の中間的なもので、多額の所得漏れの疑いがある場合に特別班を編成して行われる調査です。特別調査は税務署内での準備調査の結果、一般調査だけでは十分でないと判断された場合に行われます。事前調査もなく、2人体制でやってきて長期間にわたって実地調査が行われるのが特徴です。強制調査ではありませんが、調査日数には制限がなく徹底的に細部について調べられます。この税務調査の対象となるのは、悪質な脱税の疑いがあるケースです。
税務調査官は何を調べる、見ているのか?
会社を経営していれば、いつかは税務調査を受ける可能性がありますが、調査官は税務調査の際にどこを見るのか?という点は気になると思います。この点について、一般的には以下の項目が見られることとなります。
・売上
・仕入れ
・在庫
・人件費
・交際費
・修繕費
・貸倒損失
・使途秘匿金
・源泉所得税
・印紙税
・消費税
上記の項目は、月次試算表を作成する際に顧問税理士から内容について質問のある項目です。つまり、これらの項目について、調査官は調べておきたいと考えているのです。
税務調査官をきちんと納得させるには?
税務調査を受けることになった場合、調査官によって会社のお金の流れが調べられる訳ですが、大切なことは証拠に基づいた説明がきちんとできるかどうかです。調査官は月次試算表の内容を知りたがるわけですから、これを作成する際に明快に説明できる証拠もきちんと保存、用意しておくようにしましょう。本来は帳簿書類の作成・保存は税務調査のためだけに行うことではありませんが、会社にとっては大切なことですので、普段からきちんと証拠になるものを保存、用意しておくことを意識しておきましょう。
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