【初めての法人設立】株式会社の設立手順10のステップ
起業する、独立開業するという時には「法人設立」を検討する方が多いと思います。しかし、実際の法人設立となると、何の準備が必要で、どんな手順を踏まなければいけないのか?わからずに困るという方も多いと思います。そこで今回は法人の基本的な種類と特徴、中でも最もポピュラーな法人形態である「株式会社の設立」について、まとめてご紹介していきたいと思います。
まずは法人の種類から知っておこう
法人=株式会社と思う方も多いかもしれませんが、実は法人には様々な種類があります。これから法人を設立したいと思っている方は、以下の各種類を理解した上で、適切な法人形態を選択する事が大切になります。
(1)株式会社
出資者は1名以上で、全員が会社の債務に対し、出資金額の範囲内でのみ責任を負担します。所有と経営の分離を原則としており、出資者と経営者は明確に分離されます。この法人形態は、国内において最も知名度、信用度が高いというのがメリットです。
(2)合同会社
2006年の改正会社法の施行により新設された法人形態で、LLC(Limited Liability Company)とも言われています。出資者は1名以上、経営者と同一となり金銭出資するだけです。組織は出資した金額の範囲内の責任だけを負担する社員たちで構成されます。定款による自治が認められていて、出資率と分配比率がイコールの関係とはなっていません。株式会社よりも設立費用は安くて済むのですが、知名度が低いというデメリットがあります。
(3)合名会社
2人以上の出資が必要で、出資者は経営も行うし、会社の債務に対して連帯して無限に責任を負担します。以前は資本金2円で設立できるメリットがありましたが、2006年の改正会社法の施行で、株式会社が1円でも設立できるようになったため、実質的にメリットがなくなりました。知名度が低いのがデメリットです。
(4)合資会社
2人以上の出資が必要で、出資者が会社の債務に対して連帯して無限に責任を負担する「無限責任社員」と、出資した金額の範囲内の責任だけ負担する「有限責任社員」、それぞれ1名以上で組織が構成されます。尚、無限責任社員に限って経営を行うことになっています。合資会社同様、2006年の改正会社法の施行で株式会社が1円でも設立できるようになったため、実質的なメリットはなくなりました。また、知名度が低いため信用度が高くないのがデメリットです。
(5)有限会社
2006年に改正会社法が施行され、以降新たに有限会社を新設する事はできなくなりました。しかし、既存の有限会社については、そのまま存続する事ができます。
実際の株式会社の設立手続きは?
2006年の改正会社法の施行で資本金規制がなくなり、取締役1名で株式会社の設立できるようになったため、株式会社の設立はかなり自由に行えるようになりました。そのため今日では、法人設立の際に株式会社を選択するケースがほとんどという状況になっています。尚、株式会社の設立方法には、「発起設立」と「募集設立」の2つの方法がありますが、ここでは一般的な「発起設立」の手続についてご説明していきます。
【手順1】会社概要を検討・決定する
発起人名・出資者名・構成役員名・本店所在地・商号(会社名)・事業目的・決算時期の決定・立ち上げ時の資本金額など、会社を設立するのに必要な事項を検討、決定します。
【手順2】類似商号がないかを調べる
会社概要を検討したら、既に類似する商号(会社名)の会社がないか、事業目的に問題がないかを、会社の本店所在地を管轄する法務局にて調べます。ちなみにもし本店所在地エリアを管轄する法務局で、そのエリアに既に同じ商号の会社が合った場合は、同一の商号で会社を設立する事はできません。
【手順3】法人印鑑の発注・作成を行う
類似商号を調査した結果、問題がなければ社名を決定し、法人用印鑑の発注、作成を行います。近くの印鑑屋さん、またはインターネットの印鑑通販サイトなどで「法人の実印」を作ってもらいます。金額的には選ぶ印鑑の素材次第でもありますが、安いものであれば~3万円以内程度で買う事ができるでしょう。法人の印鑑は会社設立後、法人銀行口座の開設をはじめ、様々な場面で必要となるので、必ず作っておく必要があります。
【手順4】印鑑証明書を取得しておく
定款認証の際には発起人全員の印鑑証明書が必要になります。また、設立登記の際に代表取締役の印鑑証明書が必要となります。定款には印鑑証明書の内容の通りに、正確な住所の記載をしなければなりません。
【手順5】定款を作成する
決定した会社概要を元に、定款の作成を行います。最近は便利な定款作成キットも市販されているので、自分で作ることはそれほど難しくありません。しかし内容を理解し、時間をかけて作成することにはなりますので、もし不安があれば、行政書士や司法書士などの専門家に相談し、手数料を支払って作成してもらいましょう。
【手順6】発起人による設立総会を開催する
会社設立時に役員の選出、設立時の代表取締役の選出をしなくてはなりません。これは会社法における設立のルールとして求められているものです。仮に1名取締役のみの会社であったとしても、形式的にきちんと議事録を作成し、保存しておく必要があります。
【手順7】定款の認証を受ける
作成した定款は公証役場で認証を受ける必要があります。その時に持参するものは、定款・発起人全員の印鑑証明書・実印・委任状などです。定款の認証には手数料・収入印紙代などがかかりますので、事前に公証役場に電話の上、確認しておく方が良いでしょう。また、その際に公証役場を訪問する日時の打ち合わせもしておきましょう。
【手順8】出資金の払込みを行う
株式会社の設立には資本金が必要です。発起人である代表者1名の個人銀行預金口座に、定款で決
めた資本金の払い込みを各出資者が行いましょう。仮に1名取締役の会社であれば、自らが払込を行うだけで構いません。また、この時に払込のあった預金通帳のコピーを必ず取っておくようにしましょう。
【手順9】法務局で会社設立の登記申請を行う
出資金を払い込んだ後、2週間以内に本店所在地の法務局へ行き、会社設立の登記申請を行います。尚、自分で法務局へ行く方法以外に、登記申請書類の作成から申請までを司法書士に委任することもできます。この際には別途手数料が必要となります。
【手順10】会社設立後に各種届出を行う
会社設立の申請が済んだ後は、本店所在地のあるエリアを管轄する税務署・社会保険事務所・自治体へ設立の届出をしなくてはなりません。各種税金などに関わることで、疎かにする事は許されない大切なことですので、早めに届け出を済ませておきましょう。
以上のように株式会社を設立するにはこういった手続きが必要となります。実際のところ、すべての手続きを自分一人で行うとなると、多くの時間と手間がかかります。そのため近年では、法人設立の代行サービスも多数あり、多くの人がこのような代行サービスを利用して会社設立を行っています。概ね10万から20万円程度の金額で代行してくれるケースが多いので、代行サービスを利用するか、自分で設立の手続きを行うか、まずは検討してみてください。
(寄稿者:ルパンさん)
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