法人としてファイナンシャルプランナーと顧問契約を締結するメリットって何?
近年、企業の中にはファイナンシャルプランナーと顧問契約を締結するケースも出てきています。しかしながら、そもそもファイナンシャルプランナーと顧問契約を締結すると何が良いのでしょうか?今回はこのテーマについて、独立系ファイナンシャルプランナーの立場から解説してもらいました。
お金の専門家と呼ばれるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談需要は年々増加しています。昨今では就職活動や転職活動のためにFP資格を取得しようとする人や、自身の資産管理能力を身につけておきたいと考える人も増えてきています。
そしてこういった一般の方々に加え、社長や個人事業主の立場にある人のファイナンシャルプランニングも極めて重要な事項です。自分自身が経営している会社、事業、従業員はもちろん、社長自身の資産管理も考えなければなりません。これらを踏まえて今回は、社長や個人事業主の方のために、ファイナンシャルプランナーと顧問契約を締結するメリットについて、解説していきたいと思います。
従業員向けの福利厚生や、社長自身の保険相談、事業承継に有効
もしあなたの企業が従業員を多く雇用しているのであれば、福利厚生の一環としてFPとの顧問契約を結んでおくのがお薦めです。FPと顧問契約を結ぶメリットは様々あるのですが、手っ取り早くメリットを感じられるのは「保険設計」に関する部分でしょう。
法人の場合、保険活用は社長の相続や事業承継をはじめ、支払保険料の削減や従業員の福利厚生、節税といった観点からメリットが様々存在します。これらすべてを総合的に判断し、提案できるのがFPの強みであると言えます。
ちなみに生命保険会社の社員も同じような仕事をしていますが、FPとは最終的な目標が異なっているため、提案の質も全く異なってきます。生命保険会社の最終目的は保険契約を確立する事、FPの最終目標は会社状況や資産状況を鑑みて、会社にとっての将来を考慮した提案を行うことです。法人の立場からすれば、どちらが効率的なファイナンシャルプランニングなのかは、言うまでもなく判断する事ができると思います。
また、働く従業員のライフプランニングや保険相談、税金、年金、住宅相談など、様々なお金の相談ができるのもFPの強みです。会社側が顧問料を支払っていれば、従業員が個人的に相談料を支出する必要もありません。つまり、従業員は無料で何度でも、顧問FPに相談できるようになるわけです。
近年は首都圏を中心に、独立系FPが法人の顧問として活躍するケースも増えてきています。従業員の福利厚生を充実させるという考えをお持ちの社長や個人事業主の皆さんであれば、ぜひ活用して欲しいと思います。
社長自身の資産相談でもメリットが出てくる
前述したように従業員だけに留まらず、社長自身の資産相談が可能な点も、FPと顧問契約を結ぶメリットです。資産運用や相続、事業承継といった相談内容は、従業員側とはまた違った主旨の内容になるため、顧問FPには高度な知識や経験が求められます。また、社長個人のライフプランニングや保険相談についても、従業員と同様に対応が可能なため、社長自身にとっては従業員以上のメリットは出てきます。
例えば親子二代などで経営する同族会社であれば、早いうちから相続や事業承継の対策が必要となります。顧問FPであれば、総合的な相続・事業承継の提案も行なってくれるでしょう。
法人の顧問契約を締結するなら、独立系FPがお薦め
ここまではファイナンシャルプランナーと顧問契約を締結するメリットをご紹介してきましたが、顧問契約を結ぶ際は、独立系FPとの契約が望ましいと思います。法人や組織に属している、いわゆる企業系のFPとは異なり、独立系FPは様々な分野のファイナンシャルプランニング業務に携わっているため、事業を維持していくための高度なスキル、経験を持っている事が多いです。
また、企業系FPのように、1つの分野に特化するのではなく、バランスの良い情報の提供が可能な点も、独立系FPの強みです。例えば保険の相談を保険会社に、資産運用を証券会社に、経営や相続を税理士に、年金や社会保険を社労士にといった形で都度相談相手が異なっている状況であれば、顧問FPに相談すれば解決策が見つかるといった事も多々ありえます。
独立系FPは幅広く高度な知識を持ったプロフェッショナルです。社長や個人事業主の皆さんと末長くお付き合いができる、良きパートナーとしての繋がりを持っておく事をお薦めします。
著者・SPECIAL THANKS
佐藤 元宣
独立系ファイナンシャルプランナーとして子育て世帯から年配まで幅広い年齢層と分野で様々な相談に応じている。地元秋田県でファイナンシャルプランナー普及活動や情報も積極的に発信。
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